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2017年09月11日

遺産を慈善事業に寄付するには? / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


自分の死後は、自分の遺産を慈善事業のために使ってほしいと考える方もいると思います。

遺産を慈善事業のために活用する方法は二つあります。

一つは、既に存在する慈善事業団体に寄付することです。

遺言によって、何処何処に遺贈すると記載するだけで足りるため、最も手っ取り早い方法と言えます。そのために必要な費用は、自分の死後、自分の代わりに財産を管理する遺言執行者への報酬だけで足ります。

ただ、自分の意図するような活動をしている慈善事業団体が存在しなくて、寄付する先が見つからず困っているという方もいるかもしれません。

そんな時は、二つ目の方法として、自ら公益法人、財団法人、NPO法人等を設立することもできます。

自分の意図したとおりに遺産を活用することができますが、慈善団体を運営するためには、資金が必要です。運営資金のために遺産が消えてしまって本末転倒の結果になってしまうこともあり得ます。資金に余裕がある方だけが取りうる手段と言えるでしょう。

慈善団体に寄付する際には、二つのことに留意する必要があります。

一つは遺留分です。
遺産はすべて慈善事業のために寄付し、相続人には一切渡したくないと考えている方もいるかもしれませんが、推定相続人は、遺言書などで指定がなくても遺産のうち一定の額は必ず受け取れることになっています。

寄付した後でも、相続人は遺留分に相当する額を返すように慈善団体に求めることができますし、そうなった場合、慈善団体は拒否することができません。

せっかく寄付した遺産も訴訟の費用や弁護士費用に消えてしまうということもあり得ます。

ですから、遺贈する際には、遺留分相当額は相続人に相続させるという配慮が必要です。

もう一つは、慈善団体の受け入れ体制の確認です。

当然ですが、慈善団体のすべてが遺産を受け入れているわけではありません。遺贈の場合は、遺贈を受ける側が拒否――遺産の受け取りを辞退することもできます。

寄付を受け付けていないのに、いきなり寄付すると遺言されても団体の運営者が困惑してしまうこともあるでしょう。

また、寄付を受け付けていても、現金や預貯金のみで、不動産や宝石類などの物による寄付は受け付けていないところもあります。

ですから、生前に、慈善団体の担当者と連絡を取り合って、遺産を受け取ってくれるかどうか確認しておくことが大切です。


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posted by 大滝七夕 at 22:30| 実務のヒント

2017年09月07日

ペットの世話を頼みたい場合は負担付遺贈も利用できるが…… / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


犬や猫などのペットは人間の言葉を話すことはできませんが、飼い主にとっては、大切な家族の一員です。
人間の遺族と同等にペットにも何からの遺産を残したいと考えるのはごく自然なことです。
しかし、犬や猫などのペットは、法律上は物として扱われます。箪笥や食器棚と同じ扱いになるわけです。
ペットに遺産を残すことはできませんし、世話する人が必要になります。もしも、世話をする人がいなければ、保健所などで殺処分されてしまうことになります。

誰かにペットの世話をお願いしたい場合は、遺言によって、ペットの世話を頼むこともできます。
ただ、子供に対してペットを世話せよという趣旨の遺言を書いても法的な拘束力はありません。
ペットの世話を怠って、保健所に送ったとしても、遺言執行者から損害を求められるとか、飼い主の変更を求められることもないわけです。

この点は、ペットだからというわけではなく、人間が対象でも同様です。
母親をお前の家に引き取って面倒を見ろと言う遺言を子供の一人に書き残したとしても、その子供は必ずその通りにしなければならないというわけではありません。他の兄弟に引き取らせたり、そのまま一人暮らしをさせておいても構わないわけです。

このようにペットや誰かの世話をするように求める遺言は、それ単体では法的な拘束力はありませんが、『負担付遺贈』と言う形式にすることで法的な拘束力を持たせることもできます。

簡単に言えば、遺産を遺贈する見返りとして、ペットや誰かの世話をせよと命じる方法です。

ただし、負担付遺贈を受けた者は無限にペットの世話を続けなければならないというわけではありません。遺贈された遺産の額を越えて世話を続ける必要はないのです。

ペットを飼えば、餌代や病院の費用などが掛かります。そうした出費がかさんで遺贈を受けた遺産の額を買い果たしてしまったというのであれば、その時点で、ペットの世話を放棄しても構わないということになります。

また、遺言書で負担付遺贈を受けるように求められた者は、その権利義務を自動的に受けるというわけではなく、負担付遺贈の放棄――負担付遺贈を受けることを辞退することも可能です。

だから、遺言書に記載すれば、必ず、望みどおりになるというわけではないのです。

誰かにペットの世話を頼む場合は、遺言書に記載するだけでは十分ではありません。世話を頼みたい人から事前に了解を得ておくことが大切です。

そして、負担は遺贈する財産の範囲内に限定されるという点にも留意する必要があります。遺贈財産が少ない場合は、実質的にペットを押し付ける形になってしまうわけですから、本当にペットを可愛がってくれる方にお願いする必要があります。

また、遺贈を受けた人が、ちゃんと世話をしているかどうか監督する人を決めておくことが望ましいとされています。具体的には、遺言執行者を決めて、監督してもらうのです。尤も、遺言執行者もただで監督役を引き受けるわけではなく、ある程度の報酬が必要になります。

そんな報酬を支払う余裕があるなら、その分を遺贈に回した方がいいですし、そもそも、遺言執行者の監督がなければ、ペットを世話しないような人にはお願いすべきではないとも言えます。

負担付遺贈の遺言書の文例

遺言書

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

1、遺言者は、乙山花子(住所、生年月日)に遺言者の銀行預金(銀行名、口座番号等)を下記の負担付で遺贈する。



受遺者乙山花子は、遺言者の愛犬ハチ公(柴犬一歳)を飼育し愛情を持って世話をすること。ハチ公の死後はペット霊園(住所)に手厚く葬ること。

2、遺言執行者として、行政書士秋山小兵衛(住所、生年月日)を指定する。



※民法条文

(負担付遺贈)
第千二条  負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2  受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(負担付遺贈の受遺者の免責)
第千三条  負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


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posted by 大滝七夕 at 22:15| 実務のヒント

2017年09月05日

遺言書の付帯事項、お墓や葬式方法の希望など / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


遺言書には、どんなことを記載しても構いません。

誰にどれだけの遺産を相続させるかと言うような遺産分割方法の指定をするばかりでなく、葬儀の方法や埋葬方法、家族への最後の手紙――一般的な意味での遺言、遺書でも構わないわけです。

ただし、法的意味のある文言は、遺産分割方法の指定のような遺言事項に限られます。これらの事項は、裁判所の検認を受けることにより、権利変動を生じさせる法的な意味での遺言書になります。不動産登記の移転に際しての原因証書となるわけです。

一方、葬儀の方法や埋葬方法、家族の最後の手紙は、付帯事項と呼ばれ、裁判所の検認を受けても、法的な拘束力は有しません。

例えば、遺骨は灰にして海にまいてくれと書き残したとしても、必ずしもそうしなければならないということはないのです。普通に墓地に埋葬したとしても、遺言書に反するとして、遺言執行者から埋葬のやり直しを命じられるとか損害賠償を求められるということはないわけです。

あるいは、お祖母さんのことはお前の家に引き取って面倒を見なさいと書き残したとしても、それが負担付遺贈――お祖母さんの面倒を見る代わりに遺産を多めに相続させるというような趣旨の遺言――でない限り、必ず、お祖母さんを引き取らなければならないと言うことにはならないのです。

それなら、遺言書に付帯事項を記載しても全く意味がないのと言うとそんなことはありません。

少なくとも、遺言を書き残すあなたの最終的な意志であることは明らかなわけですから、まともな相続人であれば、できる限り希望に沿うように手配するはずです。遺言執行者――それも、弁護士や行政書士などの第三者である専門家を指定しておけば、プロ意識を持ってその意思に則った手配をしてくれるはずです。

ただし、どうしても難しい場合もあります。

例えば、遺灰を海にまいてほしいと言っても、そのための費用が掛かりますし、遺骨を手放したくないと考える遺族もいるかもしれません。希望通りにはいかない事もあります。

葬式や埋葬方法に関してはどうしても遺族の意向が重視されがちであるため、遺言執行者が遺言書通りにしなければ駄目だと強く出ることは難しいものです。

ですから、遺言書に書き残すだけでは、十分とは言えません。

葬儀の方法や埋葬方法について、希望がある場合は、生前に準備しておくことが大切です。葬儀会社と話し合って、契約を結んでおく。あるいは、墓を事前に購入したり、遺灰をまくのであればそのために必要な費用を別途用意したり、葬儀会社と契約しておくというようなことです。

さらに、遺族にも予め話しておくことが大切です。遺言書の付帯事項を見せて、こうしてくれと言うようなことを話し了解を得ておくのです。遺産分割方法を指定した遺言事項の部分を見せたくない場合は、遺言事項と付帯事項を別々の紙に記載しておくのも一つの方法です。



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