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2017年07月27日

遺言者の代わりに相続手続きを見届ける人 遺言執行者 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり



遺言書が効力を発揮するのは、遺言者が亡くなってからです。ですから、遺言者は、自分の遺言通りに事が進むかどうかを見届けることはできません。

もしかしたら、相続人の一人が、遺言内容に異議を唱えて、相続人間で争いごとになるのではないかと考えてしまうと、おちおち死んでもいられないものです。

遺言書を作成する時は、この遺言書を読んだ相続人がどう思うか。不満を持つ者がいないかということを考慮して作らなければなりません。

各相続人の最低限の取り分――遺留分を侵害しないように遺産の配分を考える。

特別受益を受けた者がいる場合はその分を差し引いて遺産の分配を考える。

寄与分がある者に対して考慮した遺産の配分を考える。

遺産の分割だけでも、細心の注意を支払う必要があります。苦心の末、作成したならば、さあ、一安心というわけにはいかないものです。

やはり、どんなに頭をひねって作った遺言書でも、その遺言通りに相続人が納得するとは限らないのです。



そんな時は、遺言書通りに手続きが行われるかどうか監督する人を選任しておくことができます。

これを「遺言執行者」といいます。

遺言者の死亡後に、遺言の内容を実現するために必要な行為や手続きをしてくれる人のことです。

遺言執行者は誰でもなることができます。

親戚の中で信頼できる若い人がいれば、その人に頼むのもよいでしょう。

しかし、相続人の一人を遺言執行者とすることはお勧めできません。相続の当事者ですから、自分の都合のよいように、手続きを進めてしまうということも考えられるからです。



相続手続きは法的な手続きを伴うのが一般的です。

不動産であれば、所有権移転登記手続きを行わなければなりませんし、遺言による認知の場合は、役所で手続きをしなければなりません。

そのため、法律に精通している人であることが望ましいです。

さらに、相続人とも、全く、利害関係がない人であることが望ましいです。

親戚の場合は、相続人にはならなくても、やはり、情がわいてくるものでしょう。特定の相続人と結託して、勝手に相続手続きを進めてしまうことも考えられます。

相続人とは無関係の法律家に依頼しておけば、遺言書に従って忠実に手続きを進めてくれるものです。



※参考条文 民法

   第四節 遺言の執行

(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

(遺言執行者の指定)
第千六条  遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

(遺言執行者の任務の開始)
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第千八条  相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

(遺言執行者の欠格事由)
第千九条  未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

(遺言執行者の選任)
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

(相続財産の目録の作成)
第千十一条  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2  遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2  第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

(特定財産に関する遺言の執行)
第千十四条  前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

(遺言執行者の地位)
第千十五条  遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。

(遺言執行者の復任権)
第千十六条  遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2  遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を行わせる場合には、相続人に対して、第百五条に規定する責任を負う。

(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第千十七条  遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2  各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

(遺言執行者の報酬)
第千十八条  家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2  第六百四十八条第二項及び第三項の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条  遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2  遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

(委任の規定の準用)
第千二十条  第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。

(遺言の執行に関する費用の負担)
第千二十一条  遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。


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posted by 大滝七夕 at 19:49| 実務のヒント

2017年07月26日

寄与分とは / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


寄与分とは、特定の法定相続人が被相続人の生存時に被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合、その貢献の程度に相当する金額を相続分に加算することができるという制度です。

遺言書がなく、遺産分割協議がまとまらずに、家庭裁判所での調停となった場合、相続人の間で寄与分がどの程度あったのかが問題になりがちです。

また、遺言書が残されていた場合でも、自分の寄与分が考慮されていないということで、特定の相続人が不満を抱くということもあります。

ですから、遺言書作成に際しては、寄与分を考慮することが肝要です。

とはいえ、遺言者自身が客観的に寄与分がどの程度なのかを判断するのは難しいものです。専門家の助言を仰ぐようにしたいものです。



寄与分とはどの程度の貢献を差すのか?

寄与分がどのような場合に認められるかは非常に難しい問題です。

民法の条文では、「特別の寄与をした」という表現になっている通り、同居の家族として当たり前のことをしていたという程度では、寄与分として認められません。

一般的には、以下のような場合、寄与分が認められる可能性があります。

・仕事を辞めて、あるいは、自腹を切って、親の介護を率先してやっていた。

・親に代わって、家業を仕切り、家業を維持、成長させた。

・親の生活費などをすべて出していた。



特に問題となるのが、介護です。

介護をしていたから自動的に、寄与分が認められるのかというとそんなことはありません。

「特別の寄与をした」と言うに足るだけのことをしてきたのか。ということが問題になるわけです。

例えば、

・亡くなった親と同居していて、毎日、デイサービスに送り出していた。デイサービスを利用しない日は、家で面倒を見ていた。デイサービスの費用は、親の年金で賄っていた。

・亡くなった親が倒れてから、毎日、病院にお見舞いに行き、自宅療養となってからも通院の付き添いをしていた。費用は親の年金で賄っていた。

このような場合は、「同居の家族として当然のことをしただけ」とみなされて、寄与分として認められないことが多いです。

「特別の寄与をした」と認められるためには、一般的には、「介護費用や入院の費用を親に代わって子供が負担していた」というような、財産的な貢献をしていることを要します。

そして、その費用をどれだけ負担していたのかという点については、資料を基にして計算しなければならないので、「領収証」などの明確な数字が分かる文書を用意することが求められます。

デイサービスなども利用しないで自宅で介護するという方もいると思います。

そのような場合は、具体的な数字で表すことが非常に困難です。

親の家に同居している場合は、それにより、介護する子供が家賃相当分の費用を免れているのですから、その対価として介護するのが当然とみなされて、寄与分として認められないということもあります。

家業の場合も、寄与分として認められるには、「特別の寄与をした」ことを要します。

単に従業員として家業に従事していたという程度では、その対価は報酬として受け取っているのですから、寄与分とはなりません。

倒れた親に代わって、無報酬で経営を代行していた場合に、「特別の寄与をした」と認められるのです。



※参考条文 民法

(寄与分)

第九百四条の二  共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3  寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4  第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。


※(法定相続分)
第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

(代襲相続人の相続分)
第九百一条  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2  前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

(遺言による相続分の指定)
第九百二条  被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2  被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。



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posted by 大滝七夕 at 19:56| 実務のヒント

2017年07月25日

特別受益者とは / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


被相続人が亡くなる前に、特定の相続人が、被相続人が一定の贈与や遺贈を受けていた場合、「特別受益者」となります。

一定の贈与や遺贈とは何かと言うと、
1、遺贈を受けた者
2、婚姻または養子縁組のための贈与を受けた者
3、生計のための資本として贈与を受けた者
の三つです。

これらの特別受益を受けていた者の法定相続分は少なくなりますよという趣旨です。

被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分で算定した中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とすることになります。

具体的には次のようになります。

夫が亡くなり、相続人が妻と長男、長女の三人だったとします。亡夫死亡時の遺産は3000万円。そのうち、長女が婚姻に際して1000万円の贈与(特別受益)を受けていたとします。

1、まず、長女が受け取っていた1000万円も相続財産に組み込むことになります。
3000万円+1000万円=4000万円 これがみなし相続財産となるわけです。

2、次に、4000万円を法定相続分に従って、分配することになります。すると、次のような分け前になるわけです。
妻 2000万円 長男 1000万円 長女 1000万円

3、そして、特別受益の分を差し引いて、相続に際して受け取れる額を計算することになります。
長女は1000万円を受け取っているわけですから、
長女 1000万円−1000万円=0円 
一方、妻と長男は、以下のように受け取るという形になるわけです。
妻 2000万円 長男 1000万円


特別受益と言うと生前贈与だけを意味していると考える方もいるかもしれませんが、遺贈の場合も含まれます。上記設例で、長男に800万円遺贈するという趣旨の遺言書を残していたとします。
1、2の計算方法は同じです。

1、まず、長女が受け取っていた1000万円も相続財産に組み込むことになります。長男に遺贈する800万円は、死亡時の遺産3000万円の中に含まれています。
3000万円(800万円も含む)+1000万円=4000万円 これがみなし相続財産となるわけです。

2、次に、4000万円を法定相続分に従って、分配することになります。すると、次のような分け前になるわけです。
妻 2000万円 長男 1000万円 長女 1000万円

3、そして、特別受益の分を差し引いて、相続に際して受け取れる額を計算することになります。
長女は1000万円を受け取っているわけですから、
長女 1000万円−1000万円=0円 
長男は、800万円を遺贈されるわけですからその分差し引くことになります。
長男 1000万円−800万円=200万円
妻 2000万円

※つまり、長男への遺贈分800万円を差し引いた3200万円を法定相続分の割合で分け合うわけではないということです。



特別受益が法定相続分を超過している場合は?

夫が亡くなり、相続人が妻と長男、長女の三人だったとします。亡夫死亡時の遺産は3000万円。そのうち、長女が婚姻に際して1200万円の贈与(特別受益)を受けていたとします。

みなし相続財産4200万円を法定相続分にしたがって割り振ると
妻 2100万円 長男1050万円 長女1050万円

となるわけですが、長女はすでに1200万円を受け取っています。ですから150万円分不足してしまうわけで、不足分を妻と長男がどう負担し合ったらいいのかが問題になるわけです。

まず、前提として押さえておきたいことは、長女は超過した特別受益150万円を支払う必要はないということです。あくまでも、死亡時の遺産3000万円をどう分配するかの問題なのです。


実務的では、具体的相続分基準説と本来的相続分基準説の2つの立場が有力です。

具体的相続分基準説とは、不足分を特別受益者以外の共同相続人の具体的相続分の割合に応じて負担させるとの考えです。

この考えにのっとると、以下のようになります。
妻 2100万円−150万円×2100万円/2100万円+1050万円

長男 1050万円−150万円×1050万円/2100万円+1050万円


本来的相続分基準説とは、不足分を特別受益者以外の共同相続人の法定相続分の割合に応じて負担させるとの考えです。

この考えにのっとると、以下のようになります。
妻 2100万円−150万円×妻の法定相続分の割合1/2 / 妻と長男の法定相続分を合算1/2+1/4=2000万円

長男 1050万円−150万円×長男の法定相続分の割合1/4 / 妻と長男の法定相続分を合算1/2+1/4=1000万円

※参考条文 民法

(特別受益者の相続分)

第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2  遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3  被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。



第九百四条  前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。



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