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2017年10月03日

外国人の相続・遺言問題 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


外国人が、日本において、相続をする場合はどうなるでしょう。
例えば、アメリカ国籍を持つ外国人が、日本に居住している時に、日本で亡くなり、相続が発生した。遺産として日本国内の不動産や動産がある。
相続人は、日本人の妻との間に生まれた日本国籍を持つ子供とは限らず、アメリカ人の子供たちだけということもあり得ます。
この場合、日本の法律が適用されるのか。それとも、アメリカの法が適用されるのかが問題になります。
これを渉外相続の問題と言います。

渉外相続が行われる場合、どの国の法律が適用されるのか――準拠法――を決めなければなりません。
結論から言いますと、『法の適用に関する通則法』という法律があり、渉外事件では、どこの国の法律が適用されるかが定められています。

まず、相続の場合、基本となるのは、被相続人の本国法とされています。



法の適用に関する通則法

(相続)
第三十六条  相続は、被相続人の本国法による。

(遺言)
第三十七条  遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
2  遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。



本国法とは何かというと、これも定義があります。
一般的には、国籍を有する国の法ということになりますが、例外もあります。



(本国法)
第三十八条  当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。
2  当事者の本国法によるべき場合において、当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)及び第三十二条の規定の適用については、この限りでない。
3  当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。

(常居所地法)
第三十九条  当事者の常居所地法によるべき場合において、その常居所が知れないときは、その居所地法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

(人的に法を異にする国又は地の法)
第四十条  当事者が人的に法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある法)を当事者の本国法とする。
2  前項の規定は、当事者の常居所地が人的に法を異にする場合における当事者の常居所地法で第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)、第二十六条第二項第二号、第三十二条又は第三十八条第二項の規定により適用されるもの及び夫婦に最も密接な関係がある地が人的に法を異にする場合における夫婦に最も密接な関係がある地の法について準用する。

(反致)
第四十一条  当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)又は第三十二条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

(公序)
第四十二条  外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。

※(婚姻の効力)
第二十五条  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

※(親子間の法律関係)
第三十二条  親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。



一般的には、アメリカ国籍を有する人が、日本で亡くなり、日本で相続が開始したとしても、『相続は、被相続人の本国法による。』とされていますから、アメリカの法律に従って、相続が開始されることになります。

しかし、必ずしも、アメリカの法律が適用されるとは限りません。

法の適用に関する通則法第四十一条に、反致という制度があります。
『当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。』

つまり、アメリカの法律に、アメリカ国籍を有する人が、外国で亡くなった場合は、死亡地の法による。というような事が書かれていれば、日本の法律によって、相続を行ってもよいですよ。という意味です。

相続財産と言うと、一般的には、動産と不動産に分けられます。

動産は、被相続人が所持しているわけですから、アメリカの法に従って相続するとしても、問題ありません。しかし、不動産はそうはいきません。日本の土地をアメリカの法に従って、相続するとなると、手続が難しくなることも考えられます。

そこで、動産と不動産とで、別々の相続方法を取る国もあります。

相続分割主義と言い、「動産については被相続人の死亡時の住所地の法律に従う。不動産については不動産所在地の法律に従う」と定めていることがあるのです。

アメリカの場合は、相続分割主義を採用している州がほとんどです。

ですから、アメリカ国籍を有する人が、日本に不動産を有しており、アメリカで亡くなったとしても、不動産については、日本の法律に従って、相続が行われるということになります。

このように、外国国籍の方が絡む相続手続では、まず、どこの国の法律が適用されるのかを見定めることから始めなければなりません。


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posted by 大滝七夕 at 21:40| 実務のヒント

2017年09月29日

遺言によって認知しても子供が傷つくだけ / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


昔、別れた恋人の子供が自分の子供だと知っている。

だけど、彼女とは結婚しなかったから、子供との戸籍上の繋がりはない。

子供は今どうしているのだろう。どうしても気がかりでならない……。

今になって、急に子供のことが気になり始めた。

子供の面倒を全く見なかったことを後悔している。

子供の成長を見守れなかったことを悔やんでいる。

せめて、自分の遺産の一部を子供に譲りたい。

でも……、今まで、ずっと会っていなかったのに、いきなり、父親は私だと名乗り出たところで子供が受け入れるだろうか?

自分から、名乗り出す勇気はない。でも、黙っていることはできない……。


母親と子供の関係は、出産によって当然に、生じます。子供を産んだ後で、置き去りにしたとか、赤ちゃんポストに預けたというのでない限り、戸籍には、母親の名前がしっかり刻まれることになります。

一方、父親との関係は、当然に生じるとは限りません。

法律上当然に、父子関係が認められるのは、父親と母親が結婚している場合だけです。


民法
(嫡出の推定)
第七百七十二条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。


婚姻関係にない女性との間に子供ができてしまった場合は、父親が認知しない限り、嫡出の推定を受けることはありません。そんな子供の父親は自分だと宣言することを認知と言います。


民法
(認知)
第七百七十九条  嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。


一般的には、市区町村役場に出向いて、認知届を行うことによって、その旨の宣言をするわけです。


(認知の方式)
第七百八十一条  認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
2  認知は、遺言によっても、することができる。


この認知をしない限り、自分の子供だと、知っていたとしても、父子関係が生じることはありませんし、子供があなたの相続人になることもできません。

面と向かって、自分の子供だと言い出すことはできないけど、何か書き残したい。

そんな時は、遺言を使うのも一つの手です。つまり、遺言書に、彼女が産んだ子供は、私の子供だから認知すると書いておくのです。

ただ、遺言によって認知する場合は、記載事項が戸籍法に則ったものでなければなりません。

遺言書の文言としては、


遺言書

次の者は遺言者と(母親の氏名、住所、本籍)の間の子であるから、遺言者はこれを認知する。
子供の本籍、筆頭者、氏名
(以下略)


このような文章で、構いません。

しかし、遺言書に記載する形で一方的に宣言しても、認知が認められるとは限りません。
本来、認知は単独行為で、子供や母親の承諾を得る必要はありませんが、承諾が必要な場合もあるです。

例えば、子供が既に成年に達している場合は、認知をするには、子供の承諾を得なければなりません。父子関係を生じさせるかどうかの選択肢が子供に委ねられているわけです。


(成年の子の認知)
第七百八十二条  成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。


逆に、認知する子が未だ、生まれていない場合は母親の承諾を得なければならないとされています。


(胎児又は死亡した子の認知)
第七百八十三条  父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2  父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。


仮に、子供が亡くなっている場合でも、子供に子がいれば――あなたから見れば孫がいれば――、認知することができ、父子関係はもちろん、祖父と孫の関係を生じさせることもできます。孫が成年に達している場合は、孫の承諾が必要です。

もしも、あなたが老年に達しているのであれば、子供が成年に達している事もあると思います。

今まで、無縁だったのに、いきなり、私が父親だと名乗り出られたところで、子供が受け入れられるでしょうか?

形式的な紙切れ一枚を渡されただけで、「はい。そうですか」と受け入れられる人は少ないと思います。

遺産を譲りたいと言われたところで、戸惑うばかりでしょう。

それに、あなたの今の家族は、いい顔をするはずがありません。

遺産が見ず知らずの人間に取られるわ。隠し子が発覚するわで、踏んだり蹴ったりです。

「こんな子供がいたなんて!一体、あんた何者なのよ!」

と、その恨みを子供に対して向けるであろうことは想像に難くありません。

すると、訳も分からないままに、子供が傷つくだけで、たとえ、遺産を譲られたところで、あなたに対して、「お父さん」と呼びかけようとする気持ちが湧くことはないのではないでしょうか。

遺言書一枚で、子供にあなたの寸志を伝えることは、できません。今の家族も納得しません。

遺言書ではなく、子供や今の家族への手紙を添える――附言事項(付帯事項)――によって、気持ちを伝えることも不可能ではありませんが、よほど、気持ちのこもったものでなければ、伝わりません。

あの子に「お父さん」と呼ばれたい。
今の家族にも、あの子のことを受け入れてやってほしい。

そう考えているのであれば、やはり、生前に自ら、告白するのが一番です。


※戸籍法

第三節 認知

第六十条  認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一  父が認知をする場合には、母の氏名及び本籍
二  死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍

第六十一条  胎内に在る子を認知する場合には、届書にその旨、母の氏名及び本籍を記載し、母の本籍地でこれを届け出なければならない。

第六十二条  民法第七百八十九条第二項 の規定によつて嫡出子となるべき者について、父母が嫡出子出生の届出をしたときは、その届出は、認知の届出の効力を有する。

第六十三条  認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
○2  訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

第六十四条  遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第六十条又は第六十一条の規定に従つて、その届出をしなければならない。

第六十五条  認知された胎児が死体で生まれたときは、出生届出義務者は、その事実を知つた日から十四日以内に、認知の届出地で、その旨を届け出なければならない。但し、遺言執行者が前条の届出をした場合には、遺言執行者が、その届出をしなければならない。

※民法

(準正)
第七百八十九条  父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2  婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3  前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。



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posted by 大滝七夕 at 22:50| 実務のヒント

2017年09月25日

農地を長男に相続させるためには? / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


民法の原則では、相続が発生した場合、配偶者と子供たちは法定相続分に従って、遺産を分割することが建前となっています。

(法定相続分)
第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

尤も、この規定は任意規定ですから、必ず、法定相続分通りに相続しなければならないわけではありません。

例えば、父が亡くなり、母と長男、次男、長女が相続人だったとしましょう。

めぼしい相続財産は、広大な農地のみ。
農地は、長男が継ぐ――長子相続――が、その地域の慣習だったとします。
現在の民法制度の下でも、長男のみが相続することは可能です。

特に、農地の場合は、分割してしまうと狭くなってしまい、効率的な農地経営の観点からも好ましくありません。
もちろん、物理的に分割せず、権利だけ共有という形にすることもできます。共有の場合は、農耕作業には、全く影響しなくても、農地から得られる一人当たりの収入が減ってしまい、農業だけでは、生活が成り立たなくなってしまいます。そうなると、農地を手放してしまうということもありうるでしょう。

やはり、農地に関しては、昔ながらの長子相続の形で、相続するのが望ましいと言えます。

その場合、農地を相続しない次男、長女に対しては一定の配慮が必要になります。

まず、母親の面倒は誰が見るのか?と言う点に関しては、やはり、農地を相続した見返りに、長男が世話するのが望ましいということになるでしょう。

長子相続とすると決めたとしても、次男、長女には、次のように、遺留分があります。

(遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条  兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一  直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二  前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

母と長男、次男、長女が相続人となる場合は、次男、長女は相続財産の六分の一×二分の一=十二分の一
つまり、どのような形で相続されるのであれ、全遺産のうち、十二分の一は、次男、長女が相続する権利を主張することができる――遺留分減殺請求することができる――わけです。

以下、具体的な数字で見ていきましょう。この記事を作成している時点で、農地の価格の相場は次の通りです。

10アール=約1反=約300坪あたり
純農業地域 田127.0万円、畑92.4万円
都市的農業地域 田358.9万円、畑346.7万円

ところで、農地は必要最低限の広さが農地法で定められています。北海道では二ヘクタール、都府県では五十アールが最低限の面積です。

一ヘクタールとは、100アール=約10反=約3000坪です。

北海道では、二ヘクタールが最低面積。ということは、200アール=約20反=約6000坪もの土地がなければ、農地として認められないということなんですね。

※農地法
(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第三条  農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。(略)
2  前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。(略)
五  第一号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において耕作の事業に供すべき農地の面積の合計及びその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき採草放牧地の面積の合計が、いずれも、北海道では二ヘクタール、都府県では五十アール(農業委員会が、農林水産省令で定める基準に従い、市町村の区域の全部又は一部についてこれらの面積の範囲内で別段の面積を定め、農林水産省令で定めるところにより、これを公示したときは、その面積)に達しない場合 (略)

例えば、都心部に近い都市的農業地域で、50アールの田を長男が相続したとしましょう。

価格はおおむね10アールあたり358.9万円となっていますから、1794.5万円――四捨五入して1800万円とします――相当の価値があることになります。

これを長男のみが相続。それに対して、次男、長女が遺留分を主張した場合は、

約1800万円×十二分の一=約150万円

この金額だけ、遺留分減殺請求することができるわけです。

もしも、次男、長女が弁護士を立てるなどして、権利主張した場合は、長男は、約150万円の金額をどうにかして捻出しなければならないことになります。

一般的には、価額による弁償ということになりますが、現金がなければ、農地を売るしかないということになります。

しかし、農地の売却については、農地法によって、様々な規制があり、自由に売却することはできません。50アールしかない場合は、先の農地法第三条の規定にあるとおり、下限面積ぎりぎりですから、切り売りすることなど出来ず、丸ごと手放すしかなくなるわけです。

そうなってしまうと、先祖代々受け継がれてきた農地を長男の代でダメにしてしまうことになりかねません。

そこで、次男、長女に対しても一定の遺産を分けてやることが穏便な相続のためには必要でしょう。

最低でも遺留分相当額の遺産を相続させるべきです。

例えば、銀行預金や株式などの不動産以外の資産を相続させることを検討すべきです。

もしも、十分な銀行預金が残っていない。残っていたとしても、そのお金は、母の生活のために必要なお金だということになると、次男、長女に対して、何等の遺産を残せないことになるかもしれません。

その場合、次男、長女を納得させる方法として、現物支給するという方法も考えられます。

例えば、田圃で取れる米を次男、長女に対して、毎月10キロずつ、送ってやるという方法です。仮に10キロ3000円と仮定すると、1年間あたり、36000円相当の贈与をしているも同然です。

それを約42年間続ければ、遺留分相当額の約150万円に達することになります。

その旨の約束をすることによって、次男、長女を納得させるというのも一つの方法と言えます。

参考条文
民法
(遺留分の算定)
第千二十九条  遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2  条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。
第千三十条  贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
(遺贈又は贈与の減殺請求)
第千三十一条  遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
(遺留分権利者に対する価額による弁償)
第千四十一条  受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
2  前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。


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