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2017年08月04日

法定相続人以外の者に遺産の一部を譲りたい場合 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


あなたが遺言書を書かずに亡くなった場合、あなたの遺産は、民法の定めに従い、法定相続人が相続することになります。

・法定相続人のうち、特定の者に対して、多くの遺産を譲りたい。

・後順位の法定相続人に遺産を譲りたい。

・相続人ではない人に遺産を譲りたい。

・自分が大切にしてきた思い入れのある物を理解してくれる人に譲りたい。

そうした願いを持っていたとしても、遺言書がなければ、願いをかなえることはできないのです。

もちろん、相続人の善意を信じるのならば、遺言書という形で残さずとも、口頭でこうしてくれと頼んでおくこともできなくはありません。

ただ 、あなたが亡くなった後、相続人が手の平を返してしまうこともありますし、葬儀や相続手続きなどで忙しくしている間に、ついつい忘れてしまうということもありえるでしょう。

譲りたい遺産がただ手渡すだけでよい少額の遺産であれば、問題ないかもしれませんが、不動産はもちろんのこと、自動車や宝石類、株式といったような高額のものになると、ただ手渡せばよいというわけにはいきません。

遺言書がなければ、譲渡の手続きをすることができなくて、結局、あなたの願いが叶えられないということもあるのです。



遺言によって、遺産の承継方法を定めることを遺贈といいます。

遺贈は、誰に対してもすることができます。必ずしも、相続人に対してなされる必要はないのです。

遺贈には二つの種類があります。

一つは特定遺贈。遺贈するべき物を具体的に指し示して定める場合のことを言います。

もう一つは、包括遺贈です。遺産を特定するのではなく、「遺産のうち、二分の一」といったような割合で定める場合です。

また、死因贈与という形で、特定の人に財産を譲ることもできます。

税金面では、遺贈も死因贈与も全く同じ相続税の対象です。死因贈与という名前ですが、贈与税を課されるわけではありません。

が、民法では、死因贈与を行うためには、贈与する者と譲り受ける者の契約ということですから、両者が契約を結んで事前に合意しておかなければなりません。

遺贈の場合は、遺言者の意思のみで有効になり、遺産を譲り受ける者の合意は 必要ありません。もちろん、受遺者が辞退することはできます。



特定遺贈の遺言書の文例

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

遺言者は乙山次郎(住所、生年月日)に、遺言者の次の財産を遺贈する。

1、丸太銀行丸太支店のすべての預金

2、土地(登記簿の記載どおりに明記)

3、建物(登記簿の記載どおりに明記)



包括遺贈の遺言書の文例

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

遺言者は乙山次郎(住所、生年月日)に、遺言者のすべての財産の弐分の壱を遺贈する。



※参考条文 民法

(死因贈与)
第五百五十四条  贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条  遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条  受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2  遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条  遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。

(受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄)
第九百八十八条  受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百八十九条  遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない。
2  第九百十九条第二項及び第三項の規定は、遺贈の承認及び放棄について準用する。

(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(受遺者による担保の請求)
第九百九十一条  受遺者は、遺贈が弁済期に至らない間は、遺贈義務者に対して相当の担保を請求することができる。停止条件付きの遺贈についてその条件の成否が未定である間も、同様とする。

(受遺者による果実の取得)
第九百九十二条  受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈義務者による費用の償還請求)
第九百九十三条  第二百九十九条の規定は、遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について費用を支出した場合について準用する。
2  果実を収取するために支出した通常の必要費は、果実の価格を超えない限度で、その償還を請求することができる。

(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2  停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第九百九十五条  遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(相続財産に属しない権利の遺贈)
第九百九十六条  遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。

第九百九十七条  相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条ただし書の規定により有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得して受遺者に移転する義務を負う。
2  前項の場合において、同項に規定する権利を取得することができないとき、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、遺贈義務者は、その価額を弁償しなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(不特定物の遺贈義務者の担保責任)
第九百九十八条  不特定物を遺贈の目的とした場合において、受遺者がこれにつき第三者から追奪を受けたときは、遺贈義務者は、これに対して、売主と同じく、担保の責任を負う。
2  不特定物を遺贈の目的とした場合において、物に瑕疵があったときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物をもってこれに代えなければならない。

(遺贈の物上代位)
第九百九十九条  遺言者が、遺贈の目的物の滅失若しくは変造又はその占有の喪失によって第三者に対して償金を請求する権利を有するときは、その権利を遺贈の目的としたものと推定する。
2  遺贈の目的物が、他の物と付合し、又は混和した場合において、遺言者が第二百四十三条から第二百四十五条までの規定により合成物又は混和物の単独所有者又は共有者となったときは、その全部の所有権又は持分を遺贈の目的としたものと推定する。

(第三者の権利の目的である財産の遺贈)
第千条  遺贈の目的である物又は権利が遺言者の死亡の時において第三者の権利の目的であるときは、受遺者は、遺贈義務者に対しその権利を消滅させるべき旨を請求することができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

(債権の遺贈の物上代位)
第千一条  債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者が弁済を受け、かつ、その受け取った物がなお相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定する。
2  金銭を目的とする債権を遺贈の目的とした場合においては、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときであっても、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。

(負担付遺贈)
第千二条  負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2  受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(負担付遺贈の受遺者の免責)
第千三条  負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


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posted by 大滝七夕 at 21:39| 実務のヒント

2017年08月03日

遺言書が無視されることもある / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


遺言書と言うと、自分が死ぬまでは、その内容はもちろんのこと、遺言書があることすら、隠しておくべきだ。と考える方もいるかもしれません。

家族に自分の死後のことを生前に話しておくならば、わざわざ、遺言書と言う形式で残す必要はない。

自分が死んだ後に、見つけて読んもらうからこそ、意味があるものなのだ。

確かに、そういう考えもあるでしょう。

遺言書と言うよりも、残された家族への手紙という意味での遺言書であれば、死後に発見させるようにしておくのもよいかもしれません。

しかし、遺産分割のための法的な意味での遺言書は、生前に、その存在はもちろんのこと、内容も相続人にある程度は知れ渡っていた方が望ましいのです。

遺言書は、遺言者が生前に語っていたことを再確認するための文書である。と考えるといいでしょう。



仮に、法的な遺言書が、死ぬ間際になってもその存在が明らかにされずに、死んでから、身の回りの物を整理しているときに、出てきたとしましょう。

最初に発見した人が、遺言書に従うと、自分の取り分が法定相続分よりも少なくなる。あるいは、遺産を受け継げないという旨が書かれていたとすればどうでしょう。

遺言者と相当の信頼関係があり、よほど道徳心の強い人でなければ、自分が不利益を受けるような遺言書が見つかったことを他の相続人に知らせることはないと思います。

隠してしまうか、捨ててしまうのが常ではないでしょうか。

もちろん、そのような行為を行った場合は、相続する権利を失うと民法で規定されていますが、そもそも、存在するのかどうかが分からなければ、ペナルティの課しようがないのです。



遺言書を発見した時、すでに遺産分割を終えてしまっていたすればどうでしょうか。

しかも、遺言書に従って、遺産を分けると、すでに分割してしまった遺産を特定の相続人から引き上げなければならなかったり、あるいは、発見した人の相続分が失われてしまう。というようなものであれば、やはり、その遺言書の存在は無視されてしまう可能性が高いのです。

だから、法的な遺言書は、生前にその存在を、すべての相続人にはっきりと示しておくというのが望ましいです。



自筆証書遺言の場合のみならず、公正証書遺言の場合でも同じです。

公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されるので、偽造や紛失の心配はないといわれています。

しかし、公証人役場では、遺言者が死亡した後のフォローはしてくれません。公正証書遺言を作成するだけで、後は放っておかれるのです。

市役所から、公証人役場に、死亡の通知が行くわけでもないですし、公証人が定期的に、遺言者の生存確認をしてくれるわけでもありません。まさに作りっぱなしなのです。

だから、すべての相続人に遺言書の存在を明らかにしておくということが大切なのです。

それでもなお不安ならば、信頼できる第三者に、遺言執行者になってもらうなどして、遺言の内容が確実に実行されるように手配しておくとよいでしょう。



※参考条文 民法

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

(遺言執行者の指定)
第千六条  遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

(遺言執行者の任務の開始)
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第千八条  相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

(遺言執行者の欠格事由)
第千九条  未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

(遺言執行者の選任)
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

(相続財産の目録の作成)
第千十一条  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2  遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2  第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

(特定財産に関する遺言の執行)
第千十四条  前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

(遺言執行者の地位)
第千十五条  遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。




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posted by 大滝七夕 at 20:37| 実務のヒント

2017年08月02日

遺言書が却ってトラブルを招いてしまう / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


遺言書を作ったのに、その遺言書が却ってトラブルを招いてしまうということがあります。

自筆証書遺言と言う形式の遺言書の場合は、よりトラブルになりやすいものです。

よくある例をまとめておきます。



1、パソコンやワープロで作成している。

きれいな字が書けないからということで、パソコンやワープロで遺言書を作成する方もいます。

今時、どんな文書もパソコンで作るのが当たり前ですから、遺言書もパソコンでいいだろうと考える方もいるかもしれません。

しかし、民法では、自筆証書遺言は、全文を手書きで書かなければ、無効とされているのです。

間違いなく本人の意志であることを確認するためです。

古臭い考え方かもしれませんが、パソコンならば、偽造も容易なので仕方がありません。

また、本文はパソコンで作成して、署名と作成日付を自筆で書けばいいのではないかと考える方もいるかもしれません。

契約書などではそれでも有効ですが、遺言書の場合は、やはり、無効です。



2、作成した日付、署名、印がない。

自筆証書遺言では、本文の他、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 とされています。

日付、署名、印の三つのいずれか一つでも欠いていたら自筆証書遺言としては無効になってしまうのです。

日付を書いても、年がなくて、「月日だけ」だと、いつ作成したのかが分からないので、無効ですし、「吉日」とぼかしていたらやはり、はっきりとした作成日付が分からないので無効になってしまいます。

「大晦日」「元旦」というように月日を特定できる場合は大丈夫ですが、できれば、数字で書く方が望ましいです。



3、訂正方法を間違えている。

自筆証書遺言を作成したけど、文字を間違えたので修正液を遣って消し、上書きした。

このような場合は、他の要件が満たされていたとしても、遺言書は無効となってしまいます。

遺言書の文言を変えるときは、元の文字が読めるように斜線を二本引く程度にとどめる必要があります。

その上で、印を押して、「何文字訂正」「何文字削除、何文字追加」というふうに、訂正した過程が分かるように明記する必要があります。

また、遺言書はボールペンでなくても、鉛筆で書くことも可能です。ただ、消しゴムで消した跡がある場合は、無効と判断されやすいと考えてください。



4、病院で遺言書を作成した

遺言書を作成する場所は、何処でも構いません。自分の家で書こうが、他の人の家、遺言書に関するセミナー会場で書いても構いません。

もちろん、病院のベッドで書いてもかまわないわけです。

また、遺言書を作成する時期も、十五歳を過ぎていれば、生きている限り、いつでも構いません。

命が燃え尽きる間際までボールペンを動かして、遺言書を認めて、年月日と署名を書き、印を押したところで絶命してしまったとしても、形式が整っていれば有効な遺言書となります。

ただ、死の間際に作成された遺言書は、その人が正常な判断能力の元、遺言書を作成したのかどうか、疑わしいと判断されてしまうこともあります。

遺言書の内容を巡ってトラブルになり、遺言書に不満を持つ人がいる場合は、なおさらです。



5、文書以外の形での遺言

現状、民法で認められている遺言方法は、遺言書と言う文書の形式だけです。

文書以外の形。例えば、録音だとかビデオカメラという形式での遺言は認められていません。

これも、偽造が容易であるためです。

では、障害や病気のために目が見えなかったり、手が動かない場合はどうしたらいいのか?

そのような場合は、公正証書遺言という形式で作成することができます。

第三者である公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させることで作成する遺言書です。

口述もできないという場合でも、通訳人を介することで公正証書遺言を作成できます。



※参考条文 民法

(自筆証書遺言)
第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(公正証書遺言)
第九百六十九条  公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
二  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

(公正証書遺言の方式の特則)
第九百六十九条の二  口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2  前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3  公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。



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