2017年10月04日

中小企業の事業承継対策は、事業を継いだ瞬間から考えよう / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


中小企業の事業承継対策は、事業を継いだ瞬間から考えよう

中小企業の事業承継において大切なことは、後継者に事業に必要な資産を余すことなく承継させるということです。

そのためには、

1、元気なうちに、後継者を決め、経験を積ませる。
2、事業に必要な資産を整理する。
3、それらの資産が、後継者に受け継がれるように、遺言書を作成しておく。

ことが大切です。

まず、後継者を誰にするのかは、早い段階で決定しておかなければなりません。

自分の子供を後継者にするのか。

子供は受け継ぎたくないと言っているなら、他に承継させられる人がいるかどうか。を検討しましょう。

自分の子供の一人を後継者にすると決めたら、早い段階で、その旨を宣言して、家族はもちろんの事、取引先にも知らせるべきです。

そして、あなたが元気なうちに、後継者に仕事の多くを譲るのが望ましいでしょう。



一番肝心なのは、『経験を積ませる』ことだからです。

建設業のように、営業許認可が必要な事業の場合は、後継者が、スムーズに事業を受け継げるように、経験を積ませなければなりません。

取得済みの建設業許可を維持するためには、経営業務の管理責任者としての経験がある者が必要ですし、資格を有する専任技術者が必要になります。

専任技術者に関しては、後継者に勉強させて、建築士や施工管理技士の資格等を取らせるだけでよいのですが、経営業務の管理責任者としての経験は、実際に、経営者としての経験を積まなければなりません。

例えば、専務取締役として、五年以上の経験を積むことが求められるわけです。

もしも、後継者に、経営業務の管理責任者としての経験を積ませないまま、あなたが亡くなってしまうようなことになれば、後継者の代になった時、経営業務の管理責任者としての経験がないために、建設業許可を維持する事ができなくなってしまいます。



次に、事業に必要な資産は、どれかを見極めて、それが確実に、後継者に承継されるようにしなければなりません。

そのためには、『資産を整理して、遺言書を書くこと』が基本です。

資産を整理する際には、会社の事業に必要な資産だけをピックアップすればいいわけではありません。

例えば、会社の株式、工場の土地と建物。営業用の車や機械。運転資金が、事業のために必要な資産だったとしましょう。

それらの物を後継者に承継させる旨の遺言書を書くことは、当然ですが、それだけでは十分とは言えません。

第一に、相続税のことを考慮しなければなりません。事業に必要な資産は、多額になることが多く、相続税がかかることもあります。

相続税がかかる場合は、相続税を払うための資金も用意しなければ、いざ、後継者が承継したときに、運転資金から、相続税を捻出しなければならなかったりして、会社のお金や資産が無くなってしまうという事態になりかねません。

第二に、他の相続人の遺留分を配慮しなければならないということです。

例えば、長男を後継者に指名して、事業に必要な資産の大半を相続させた場合、他の子供たちへ相続させる遺産が何もないという事態になってしまうことも珍しくありません。

どのような事情があるにしても、相続人は、遺留分を主張することができます。

もしも、相続人が遺留分を主張すると、会社の存続が危うくなるというような事情があったとしても、遺留分減殺請求権の行使が妨げられることはありません。

他の相続人が、自分の権利を主張した結果、会社のお金や資産が無くなってしまうという事態になりかねないのです。

そのような事態を避けるためには、他の相続人に対しても、遺留分相当額の遺産を承継させるのが最も確実ですが、もしも、それだけの資産がない場合は、他の方法を考えなければなりません。

例えば、他の相続人には、生前に特別な贈与や配慮をしておくというようなことです。

建設業の方であれば、他の子供たちの家を、実費で建ててやるという様な形で納得させることもできるでしょう。

あるいは、特別に多額の学費を出してやって、いい職業に就けるように配慮するという方法も考えられます。



いずれにしても、中小企業の事業承継は、いざという時になってから、慌ててもうまくはいきません。

若い時から対策しても、早すぎることはありません。

先祖代々続いてきた事業を守るためには、先代から事業を引き継いだ瞬間から、次の世代にどうバトンタッチするのかを考える必要があります。



※建設業法
(許可の基準)
第七条  国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一  法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
二  その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。以下同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法 による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。以下同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。以下同じ。)を卒業した後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
三  法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。
四  請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。



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posted by 大滝七夕 at 21:21| 実務のヒント

2017年10月03日

外国人の相続・遺言問題 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


外国人が、日本において、相続をする場合はどうなるでしょう。
例えば、アメリカ国籍を持つ外国人が、日本に居住している時に、日本で亡くなり、相続が発生した。遺産として日本国内の不動産や動産がある。
相続人は、日本人の妻との間に生まれた日本国籍を持つ子供とは限らず、アメリカ人の子供たちだけということもあり得ます。
この場合、日本の法律が適用されるのか。それとも、アメリカの法が適用されるのかが問題になります。
これを渉外相続の問題と言います。

渉外相続が行われる場合、どの国の法律が適用されるのか――準拠法――を決めなければなりません。
結論から言いますと、『法の適用に関する通則法』という法律があり、渉外事件では、どこの国の法律が適用されるかが定められています。

まず、相続の場合、基本となるのは、被相続人の本国法とされています。



法の適用に関する通則法

(相続)
第三十六条  相続は、被相続人の本国法による。

(遺言)
第三十七条  遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
2  遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。



本国法とは何かというと、これも定義があります。
一般的には、国籍を有する国の法ということになりますが、例外もあります。



(本国法)
第三十八条  当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。
2  当事者の本国法によるべき場合において、当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)及び第三十二条の規定の適用については、この限りでない。
3  当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。

(常居所地法)
第三十九条  当事者の常居所地法によるべき場合において、その常居所が知れないときは、その居所地法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

(人的に法を異にする国又は地の法)
第四十条  当事者が人的に法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある法)を当事者の本国法とする。
2  前項の規定は、当事者の常居所地が人的に法を異にする場合における当事者の常居所地法で第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)、第二十六条第二項第二号、第三十二条又は第三十八条第二項の規定により適用されるもの及び夫婦に最も密接な関係がある地が人的に法を異にする場合における夫婦に最も密接な関係がある地の法について準用する。

(反致)
第四十一条  当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)又は第三十二条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

(公序)
第四十二条  外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。

※(婚姻の効力)
第二十五条  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

※(親子間の法律関係)
第三十二条  親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。



一般的には、アメリカ国籍を有する人が、日本で亡くなり、日本で相続が開始したとしても、『相続は、被相続人の本国法による。』とされていますから、アメリカの法律に従って、相続が開始されることになります。

しかし、必ずしも、アメリカの法律が適用されるとは限りません。

法の適用に関する通則法第四十一条に、反致という制度があります。
『当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。』

つまり、アメリカの法律に、アメリカ国籍を有する人が、外国で亡くなった場合は、死亡地の法による。というような事が書かれていれば、日本の法律によって、相続を行ってもよいですよ。という意味です。

相続財産と言うと、一般的には、動産と不動産に分けられます。

動産は、被相続人が所持しているわけですから、アメリカの法に従って相続するとしても、問題ありません。しかし、不動産はそうはいきません。日本の土地をアメリカの法に従って、相続するとなると、手続が難しくなることも考えられます。

そこで、動産と不動産とで、別々の相続方法を取る国もあります。

相続分割主義と言い、「動産については被相続人の死亡時の住所地の法律に従う。不動産については不動産所在地の法律に従う」と定めていることがあるのです。

アメリカの場合は、相続分割主義を採用している州がほとんどです。

ですから、アメリカ国籍を有する人が、日本に不動産を有しており、アメリカで亡くなったとしても、不動産については、日本の法律に従って、相続が行われるということになります。

このように、外国国籍の方が絡む相続手続では、まず、どこの国の法律が適用されるのかを見定めることから始めなければなりません。


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posted by 大滝七夕 at 21:40| 実務のヒント

2017年09月29日

遺言によって認知しても子供が傷つくだけ / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


昔、別れた恋人の子供が自分の子供だと知っている。

だけど、彼女とは結婚しなかったから、子供との戸籍上の繋がりはない。

子供は今どうしているのだろう。どうしても気がかりでならない……。

今になって、急に子供のことが気になり始めた。

子供の面倒を全く見なかったことを後悔している。

子供の成長を見守れなかったことを悔やんでいる。

せめて、自分の遺産の一部を子供に譲りたい。

でも……、今まで、ずっと会っていなかったのに、いきなり、父親は私だと名乗り出たところで子供が受け入れるだろうか?

自分から、名乗り出す勇気はない。でも、黙っていることはできない……。


母親と子供の関係は、出産によって当然に、生じます。子供を産んだ後で、置き去りにしたとか、赤ちゃんポストに預けたというのでない限り、戸籍には、母親の名前がしっかり刻まれることになります。

一方、父親との関係は、当然に生じるとは限りません。

法律上当然に、父子関係が認められるのは、父親と母親が結婚している場合だけです。


民法
(嫡出の推定)
第七百七十二条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。


婚姻関係にない女性との間に子供ができてしまった場合は、父親が認知しない限り、嫡出の推定を受けることはありません。そんな子供の父親は自分だと宣言することを認知と言います。


民法
(認知)
第七百七十九条  嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。


一般的には、市区町村役場に出向いて、認知届を行うことによって、その旨の宣言をするわけです。


(認知の方式)
第七百八十一条  認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
2  認知は、遺言によっても、することができる。


この認知をしない限り、自分の子供だと、知っていたとしても、父子関係が生じることはありませんし、子供があなたの相続人になることもできません。

面と向かって、自分の子供だと言い出すことはできないけど、何か書き残したい。

そんな時は、遺言を使うのも一つの手です。つまり、遺言書に、彼女が産んだ子供は、私の子供だから認知すると書いておくのです。

ただ、遺言によって認知する場合は、記載事項が戸籍法に則ったものでなければなりません。

遺言書の文言としては、


遺言書

次の者は遺言者と(母親の氏名、住所、本籍)の間の子であるから、遺言者はこれを認知する。
子供の本籍、筆頭者、氏名
(以下略)


このような文章で、構いません。

しかし、遺言書に記載する形で一方的に宣言しても、認知が認められるとは限りません。
本来、認知は単独行為で、子供や母親の承諾を得る必要はありませんが、承諾が必要な場合もあるです。

例えば、子供が既に成年に達している場合は、認知をするには、子供の承諾を得なければなりません。父子関係を生じさせるかどうかの選択肢が子供に委ねられているわけです。


(成年の子の認知)
第七百八十二条  成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。


逆に、認知する子が未だ、生まれていない場合は母親の承諾を得なければならないとされています。


(胎児又は死亡した子の認知)
第七百八十三条  父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2  父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。


仮に、子供が亡くなっている場合でも、子供に子がいれば――あなたから見れば孫がいれば――、認知することができ、父子関係はもちろん、祖父と孫の関係を生じさせることもできます。孫が成年に達している場合は、孫の承諾が必要です。

もしも、あなたが老年に達しているのであれば、子供が成年に達している事もあると思います。

今まで、無縁だったのに、いきなり、私が父親だと名乗り出られたところで、子供が受け入れられるでしょうか?

形式的な紙切れ一枚を渡されただけで、「はい。そうですか」と受け入れられる人は少ないと思います。

遺産を譲りたいと言われたところで、戸惑うばかりでしょう。

それに、あなたの今の家族は、いい顔をするはずがありません。

遺産が見ず知らずの人間に取られるわ。隠し子が発覚するわで、踏んだり蹴ったりです。

「こんな子供がいたなんて!一体、あんた何者なのよ!」

と、その恨みを子供に対して向けるであろうことは想像に難くありません。

すると、訳も分からないままに、子供が傷つくだけで、たとえ、遺産を譲られたところで、あなたに対して、「お父さん」と呼びかけようとする気持ちが湧くことはないのではないでしょうか。

遺言書一枚で、子供にあなたの寸志を伝えることは、できません。今の家族も納得しません。

遺言書ではなく、子供や今の家族への手紙を添える――附言事項(付帯事項)――によって、気持ちを伝えることも不可能ではありませんが、よほど、気持ちのこもったものでなければ、伝わりません。

あの子に「お父さん」と呼ばれたい。
今の家族にも、あの子のことを受け入れてやってほしい。

そう考えているのであれば、やはり、生前に自ら、告白するのが一番です。


※戸籍法

第三節 認知

第六十条  認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一  父が認知をする場合には、母の氏名及び本籍
二  死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍

第六十一条  胎内に在る子を認知する場合には、届書にその旨、母の氏名及び本籍を記載し、母の本籍地でこれを届け出なければならない。

第六十二条  民法第七百八十九条第二項 の規定によつて嫡出子となるべき者について、父母が嫡出子出生の届出をしたときは、その届出は、認知の届出の効力を有する。

第六十三条  認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
○2  訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

第六十四条  遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第六十条又は第六十一条の規定に従つて、その届出をしなければならない。

第六十五条  認知された胎児が死体で生まれたときは、出生届出義務者は、その事実を知つた日から十四日以内に、認知の届出地で、その旨を届け出なければならない。但し、遺言執行者が前条の届出をした場合には、遺言執行者が、その届出をしなければならない。

※民法

(準正)
第七百八十九条  父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2  婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3  前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。



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