2019年08月05日

行政法1−66 行政手続法 行政書士試験過去問 2012年問13

次の記述のうち、間違っているものはどれか。

1、行政手続きは刑事手続きとその性質において、おのずから差異があることから、常に必ず、行政処分の相手方等に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるなどの一定の手続きを設ける必要があるわけではない。

2、公害健康被害補償法に基づく水俣病患者認定申請を受けた処分庁は、早期の処分を期待していた申請者が、手続きの遅延による不安感や焦燥感によって、内心の静穏な感情を害されるとしても、このような結果を回避すべき条理上の作為義務を負うわけではない。

3、一般旅客自動車運送事業の免許拒否処分について、公聴会審理において、申請者に主張立証の機会が十分に与えられなかったとしても、運輸審議会の認定判断を左右するに足る資料等が追加提出される可能性がなかった場合は、当該拒否処分の取り消し事由とはならない。

4、国税犯則取締法上、収税官吏が犯則嫌疑者に対して質問する際に、拒否権の告知は義務付けられていないが、供述拒否権を保障する憲法の規定は、その告知を義務付けるものではないから、国税犯則取締法上の質問手続きは憲法に違反しない。

5、教育委員会の秘密会でなされた免職処分議決について、免職処分の審議を秘密会で行う旨の議決に公開原則違反の瑕疵があるとしても、当該瑕疵は実質的に軽微なものであるから、免職処分の議決を取り消すべき事由には当たらない。



建太郎「むむっ……。これは判例を知っているかどうかの問題だな」
胡桃「どれも基本的な判例だから、知っていて当然だわ」



胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「正しいよな。常に必ず、なんていうキーワードは、たいてい、否定の場合に使うよな」
胡桃「文章から答えがわかるかもしれないけど、判例だから押さえてよね」

一般に、行政手続は、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である。(最大判平成4年7月1日)

胡桃「2はどうかしら」
建太郎「これは間違いかな」
胡桃「そうね。判例を確認するわよ」

公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法三条一項又は公害健康被害補償法(昭和六二年法律第九七号による改正前のもの)四条二項に基づき水俣病患者認定申請をした者が相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になる。(最判平成3年4月26日)

胡桃「3はどうかしら」
建太郎「これは正しいな」

一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し諮問を受けた運輸審議会の公聴会における審理手続に申請計画の問題点につき申請者に主張・立証の機会を十分に与えなかつたという瑕疵がある場合においても、仮に運輸審議会がこのような機会を与えたとしても申請者において運輸審議会の認定判断を左右するに足りる資料及び意見を提出しうる可能性があつたとは認め難い判示のような事情があるときは、右瑕疵は、右諮問を経てされた運輸大臣の免許の拒否処分を違法として取り消す事由とはならない。(最判昭和50年5月29日)

胡桃「有名な判例だわね。4はどうかしら」
建太郎「正しいな」

国税犯則取締法上の質問調査の手続につき、同法に供述拒否権告知の規定がなく、また、犯則嫌疑者に対しあらかじめ右の告知がされなかつたからといつて、その質問調査の手続が憲法三八条一項に違反するものとはいえない。(最判昭和59年3月27日)

胡桃「5はどうかしら」
建太郎「これも正しいな」

教育委員会法のもとにおいて、教育委員会が秘密会で免職処分の議決をした場合に、右秘密会で審議する旨の議決に公開違反の瑕疵があつたとしても、同委員会においては、従来から人事案件はすべて秘密会で審議しており、各委員がこれを了知したうえ全員一致で秘密会で審議する旨を議決したものであつて、その議決を公開の会議で行うことが議決の公正確保のために実質的にさして重要な意義を有せず、また、その議決は、一部関係者だけが傍聴できない状況のもとで行われた点において公開違反があるにとどまり、全く秘密裡にされたものであるとはいえないなど判示のような事情があるときは、右公開違反の瑕疵は、実質的に公開制度の趣旨目的に反するというに値しないほど軽微なものとして、免職処分の議決を取り消すべき事由にはあたらないものと解するのが相当である。(最判昭和49年12月10日)

胡桃「ということで答えは?」
建太郎「2が間違っていると」



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