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2017年08月09日

相続人以外の第三者に財産を残したい場合 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


相続人以外の方に財産を残したいと思うこともあるでしょう。

例えば、法律上の婚姻関係にない内縁の妻、親身になって介護してくれたり世話をしてくれた方、長年の親友、信仰している宗教団体、公益団体などです。

彼らに財産を残したいと思っても、彼らが法定相続人でなければ、死んだ後で自動的に財産を渡らせることはできません。

このような場合、親族以外の第三者に財産を残す方法としては、二つあります。



一つは死因贈与です。

死因贈与は課税の面では、相続税と同様の扱いになりますが、財産を譲る贈与者と財産を受ける受贈者の間で契約を結ばなければなりません。

受贈者が予め、合意しなければなりませんし、生前に受贈者に知られることになります。

受贈者には知らせずに、財産を譲りたいという場合は使えません。



もう一つは、遺言による遺贈です。

遺贈の対象者は、血縁関係にある人に限定されるわけではありません。血縁関係の無い人に対しても遺贈することが可能です。

遺贈は、財産を譲りたいと考えている被相続人が単独で行うことができます。受け取る人が承諾するかどうかは考慮しなくてもよいのです。

遺言書に誰々に譲ると書くだけで、財産を渡らせることができます。

遺贈する財産内容も、土地や建物、あるいは高価な宝石と言った特定の物を渡す――特定遺贈も可能ですし、全財産の何分の一と言うような割合を定めるだけの包括遺贈も可能です。



相続人以外の方に財産を残したいと思っていても、その旨の死因贈与や遺言を残さずに死亡したしまった場合は、どうなるのでしょうか。

故人に法定相続人がいれば、法定相続人の間で遺産分割が行われ、故人が遺贈したいと思っている相手に財産が渡ることはありません。

一方、故人に相続人がいない場合は、故人の遺産は国庫に帰属するとされています。

やはり、故人が遺贈したいと思っている相手に財産が渡ることはありません。

とりわけ、信仰している宗教団体や公益団体に遺産を譲ることは不可能になります。

内縁の妻、親身になって介護してくれたり世話をしてくれた方、長年の親友などは、特別縁故者として認められれば、相続財産の分与を受けることができます。

民法の第九百五十八条の三には、『相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。』とされています。

ただ、条文にあるとおり、特別縁故者として認められるためには、その人自身が家庭裁判所に対して請求しなければなりませんし、家庭裁判所に認めてもらわなければならないわけで、手間がかかりますし、その人に色々と負担をかけてしまうことになります。

もう一つ、似た制度として寄与分というものがあります。

複数の法定相続人がいる場合で、一人の相続人が被相続人に対して特別に貢献をした場合は、相続財産を分割する際に配慮しなさいよと定めた制度のことです。

第九百四条の二には、『共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者』と定義されています。

共同相続人中とあるように、寄与分が認められるためには相続人でなければならないという前提があります。

ですから、相続人ではない第三者の場合は、寄与分によって、財産を受け取ることはできません。



やはり、相続人以外の第三者に財産を残したい場合は遺言書に書き残すことが最も手っ取り早く確実だということになります。



内縁の妻に遺産を残す場合の遺言書の文例

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

1遺言者は内縁の妻である乙川花子(住所、生年月日)に遺言者の所有する一切の財産を包括して遺贈する。



世話をしてくれた方へ遺産を残す場合の遺言書の文例

遺言者甲野太郎は次の通り遺言する。

1遺言者は、親身に遺言者の介護をしてくれた謝礼として、長年の親友である丙谷優子(住所、生年月日)に遺言者の所有する一切の財産を包括して遺贈する。



※民法参考条文

第六章 相続人の不存在
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条  相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条  前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2  前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
第九百五十三条  第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。

(相続財産の管理人の報告)
第九百五十四条  相続財産の管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。

(相続財産法人の不成立)
第九百五十五条  相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。

(相続財産の管理人の代理権の消滅)
第九百五十六条  相続財産の管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
2  前項の場合には、相続財産の管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第九百五十七条  第九百五十二条第二項の公告があった後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2  第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

(相続人の捜索の公告)
第九百五十八条  前条第一項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

(権利を主張する者がない場合)
第九百五十八条の二  前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2  前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条  前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。



(寄与分)
第九百四条の二  共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3  寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4  第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。



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posted by 大滝七夕 at 16:08| 実務のヒント
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