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2017年08月03日

遺言書が無視されることもある / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


遺言書と言うと、自分が死ぬまでは、その内容はもちろんのこと、遺言書があることすら、隠しておくべきだ。と考える方もいるかもしれません。

家族に自分の死後のことを生前に話しておくならば、わざわざ、遺言書と言う形式で残す必要はない。

自分が死んだ後に、見つけて読んもらうからこそ、意味があるものなのだ。

確かに、そういう考えもあるでしょう。

遺言書と言うよりも、残された家族への手紙という意味での遺言書であれば、死後に発見させるようにしておくのもよいかもしれません。

しかし、遺産分割のための法的な意味での遺言書は、生前に、その存在はもちろんのこと、内容も相続人にある程度は知れ渡っていた方が望ましいのです。

遺言書は、遺言者が生前に語っていたことを再確認するための文書である。と考えるといいでしょう。



仮に、法的な遺言書が、死ぬ間際になってもその存在が明らかにされずに、死んでから、身の回りの物を整理しているときに、出てきたとしましょう。

最初に発見した人が、遺言書に従うと、自分の取り分が法定相続分よりも少なくなる。あるいは、遺産を受け継げないという旨が書かれていたとすればどうでしょう。

遺言者と相当の信頼関係があり、よほど道徳心の強い人でなければ、自分が不利益を受けるような遺言書が見つかったことを他の相続人に知らせることはないと思います。

隠してしまうか、捨ててしまうのが常ではないでしょうか。

もちろん、そのような行為を行った場合は、相続する権利を失うと民法で規定されていますが、そもそも、存在するのかどうかが分からなければ、ペナルティの課しようがないのです。



遺言書を発見した時、すでに遺産分割を終えてしまっていたすればどうでしょうか。

しかも、遺言書に従って、遺産を分けると、すでに分割してしまった遺産を特定の相続人から引き上げなければならなかったり、あるいは、発見した人の相続分が失われてしまう。というようなものであれば、やはり、その遺言書の存在は無視されてしまう可能性が高いのです。

だから、法的な遺言書は、生前にその存在を、すべての相続人にはっきりと示しておくというのが望ましいです。



自筆証書遺言の場合のみならず、公正証書遺言の場合でも同じです。

公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されるので、偽造や紛失の心配はないといわれています。

しかし、公証人役場では、遺言者が死亡した後のフォローはしてくれません。公正証書遺言を作成するだけで、後は放っておかれるのです。

市役所から、公証人役場に、死亡の通知が行くわけでもないですし、公証人が定期的に、遺言者の生存確認をしてくれるわけでもありません。まさに作りっぱなしなのです。

だから、すべての相続人に遺言書の存在を明らかにしておくということが大切なのです。

それでもなお不安ならば、信頼できる第三者に、遺言執行者になってもらうなどして、遺言の内容が確実に実行されるように手配しておくとよいでしょう。



※参考条文 民法

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

(遺言執行者の指定)
第千六条  遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

(遺言執行者の任務の開始)
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第千八条  相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

(遺言執行者の欠格事由)
第千九条  未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

(遺言執行者の選任)
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

(相続財産の目録の作成)
第千十一条  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2  遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2  第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

(特定財産に関する遺言の執行)
第千十四条  前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

(遺言執行者の地位)
第千十五条  遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。




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posted by 大滝七夕 at 20:37| 実務のヒント
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