スポンサードリンク

2017年07月21日

遺留分とは / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり


相続人には遺産を相続する権利があります。

遺言書や遺産分割協議によって、特定の相続人には遺産を相続させないとか、極端に少なくするということは可能です。

しかし、意図的に特定の相続人に相続財産を受け継がせないことは、その相続人の権利を侵害していることになるのです。

相続人が、最低限、確保できる相続財産に対する割合のことを遺留分と言います。

遺留分を侵害された場合は、相続人は、侵害した人に対して、遺留分の限度において、財産の取戻しを求めることができます。

これを遺留分減殺請求と言います。

では、遺留分を持つ者は誰か?民法によると、

1、被相続人の配偶者、子・孫
2、被相続人の親・祖父母

となっています。

ここで注意したいことは、法定相続の場合、第三順位の法定相続人として被相続人の兄弟姉妹がいますが、「兄弟姉妹には遺留分はない」ということです。

被相続人に親と子がいなくて、法定相続人が、配偶者と兄弟姉妹だけというような場合、遺言書で、「すべての財産を配偶者に相続させる」という一筆だけを書いておけば、兄弟姉妹が、相続財産に対して何らかの主張をしてくることはないということです。



1、遺留分の割合は?

被相続人の親・祖父母のみが相続人の場合は、全相続財産の三分の一
それ以外の場合は、全相続財産の二分の一

が遺留分として主張できるということになります。一般的には、半分と覚えておけばよいでしょう。

例えば、亡夫が3000万円の遺産を残して死亡。亡夫の家族として妻、長男、長女がいるにも拘らず、亡夫が相続人ではない愛人に3000万円の遺産すべてを譲るという趣旨の遺言を残したとします。

この場合、遺言が有効と認められれば、遺族は文句をいうことができません。

じゃあ、黙って見ているしかないのかというとそうではなく、自分たちの遺留分を主張することができるのです。

この場合、遺留分として主張できるのは、3000万円のうち、二分の一の1500万円です。

1500万円の中から、法定相続分にしたがい、妻が750万円、長男、長女がそれぞれ、375万円ずつ、愛人に遺留分減殺請求できるということになります。

また、全く無関係の愛人ではなく、特定の相続人に全財産を相続させてしまうこともあると思います。

例えば、長男に対して、3000万円の全財産を相続させるという遺言を残したとしましょう。

このような場合でも、妻や長女は自らの遺留分を主張することができます。

上記の設例と同様に、妻が750万円、長女が375万円の遺留減殺再請求を長男に対してすることができるということです。

ですから、遺言書を作成する際に注意したいことは、各相続人の遺留分は侵害しないように割合を決めるということです。



2、遺留分の算定に際しては、生前贈与の分も考慮する

遺留分を計算するにあたっては、生前贈与した分も含めるという点に注意しましょう。

例えば、生前に、特定の相続人に預金を贈与したとか、不動産や自動車を譲渡したというような場合は、その財産も遺留分算定の基礎となる財産の中に組み入れることになります。

例えば、亡夫が3000万円の遺産を残して死亡。亡夫の家族として妻、長男、長女がいる。そのうち、長男に対しては生前に3000万円分の贈与をしていたとしましょう。

このような場合は、生前贈与の分も含めて、合計6000万円が全遺産として計算するわけです。

そのうえで、亡夫が3000万円の遺産を妻に相続させるという趣旨の遺言を残したとします。まったく取り分のない長女は、遺留分を主張することができます。

この場合、遺留分として主張できるのは、6000万円のうち、二分の一の3000万円です。

3000万円の中から、法定相続分にしたがい、妻が1500万円、長男、長女がそれぞれ、750万円ずつ、遺留分を有することになります。

つまり、長女は750万円の遺留分を主張することができるということです。



3、遺留分減殺請求は誰に対して主張できるのか?

この場合、長女は誰に対して遺留分減殺請求をしたらいいのかが問題になります。

一見すると、法定相続分の割合からして、余分に贈与されている長男に対して遺留分減殺請求するべきだと思うかもしれません。

しかし民法では、贈与と遺贈の減殺の順序について定めがあり、「贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。」とされています。

つまり、死亡時に財産を譲り受けた者に対して先に主張しなさいよということです。

設例では、長女は、亡夫の妻に対して750万円の遺留分減殺請求をすることができるということになります。



※参考条文 民法

第八章 遺留分

(遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条  兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一  直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二  前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

(遺留分の算定)
第千二十九条  遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2  条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

第千三十条  贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

(遺贈又は贈与の減殺請求)
第千三十一条  遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

(条件付権利等の贈与又は遺贈の一部の減殺)
第千三十二条  条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利を贈与又は遺贈の目的とした場合において、その贈与又は遺贈の一部を減殺すべきときは、遺留分権利者は、第千二十九条第二項の規定により定めた価格に従い、直ちにその残部の価額を受贈者又は受遺者に給付しなければならない。

(贈与と遺贈の減殺の順序)
第千三十三条  贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。

(遺贈の減殺の割合)
第千三十四条  遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(贈与の減殺の順序)
第千三十五条  贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。

(受贈者による果実の返還)
第千三十六条  受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

(受贈者の無資力による損失の負担)
第千三十七条  減殺を受けるべき受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

(負担付贈与の減殺請求)
第千三十八条  負担付贈与は、その目的の価額から負担の価額を控除したものについて、その減殺を請求することができる。

(不相当な対価による有償行為)
第千三十九条  不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなす。この場合において、遺留分権利者がその減殺を請求するときは、その対価を償還しなければならない。

(受贈者が贈与の目的を譲渡した場合等)
第千四十条  減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。
2  前項の規定は、受贈者が贈与の目的につき権利を設定した場合について準用する。

(遺留分権利者に対する価額による弁償)
第千四十一条  受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
2  前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。

(減殺請求権の期間の制限)
第千四十二条  減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

(遺留分の放棄)
第千四十三条  相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2  共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

(代襲相続及び相続分の規定の準用)
第千四十四条  第八百八十七条第二項及び第三項、第九百条、第九百一条、第九百三条並びに第九百四条の規定は、遺留分について準用する。



※(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(法定相続分)
第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

(代襲相続人の相続分)
第九百一条  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2  前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

(特別受益者の相続分)
第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2  遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3  被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

第九百四条  前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。




●実録行政書士開業十年シリーズ
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり



バイト補助者からの成り上がり 実録行政書士開業十年
平成十五年の行政書士試験合格後、大学卒業と共に行政書士補助者となるも二か月で失業。
人生で最もどん底の時期を生き抜き、人脈、資金、営業経験ゼロの状態から弁護士と行政書士の合同事務所を設立し、現在、十周年を過ぎた行政書士の開業初期の実体験を記した手記。



食える行政書士になりたければネットも営業もやめよう 実録行政書士開業十年2
知名度、人脈、資金ゼロ、ホームページもSNSも持たず、営業も一切やらずに、毎年一千万以上の売り上げを達成し続け、開業十周年を迎えた行政書士の戦略とは?



食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方1 実録行政書士開業十年3
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり!
金、経験、人脈なしの最悪の状況から一千万以上稼ぐに至った行政書士だけが知っている孫子の極意とは?



食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方2 実録行政書士開業十年4
低価格を提示するのは、自分がバカだと世間に公示しているようなもの!孫子の兵法の経営戦略を忠実に実行すれば、行政書士で年間一千万以上稼ぐのは当たり前!金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士がどん底で掴んだ極意とは?



食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方3 実録行政書士開業十年5
行政書士は食えない、役立たない資格。だからこそ、食えるのだ――。金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士が、孫子の兵法によって悟りを開き、たどり着いた境地とは?



posted by 大滝七夕 at 20:22| 実務のヒント

宅建士試験過去問 権利関係 借家権 2−54 平成25年 / ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版

PRノベル時代はライトノベル、時代小説を読めるオンライン小説サイト/ケータイ小説サイトです。息抜きに軽く読める小説がたくさんありますよ

ライトノベル小説で学ぶ宅建士(宅地建物取引士、旧:宅地建物取引主任者)試験 過去問版は、小説投稿サイト『小説家になろう(http://ncode.syosetu.com/n3661dt/)』でもお読みいただけます。

Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法38条1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは、甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1、BがAに無断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんに係らず、AはAB間の賃貸借契約を解除することができる。
2、Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために、当該賃貸借契約が終了した場合でも、BがAの承諾を得て、甲建物をCに転貸していた時は、AはCに対して、甲建物の明渡しを請求することができない。
3、AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て、甲建物をCに転貸している時は、BのCに対する解約の申し入れについて、正当事由がない限り、AはCに対して、甲建物の明渡しを請求することができない。
4、AB間の賃貸借契約に賃料の改定について、特約がある場合には、経済事情の変動によって、BのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して、借地借家法32条1項に基づく賃料の減額請求をすることはできない。



胡桃「これは基本的な問題だわね」
建太郎「ああ。俺でも、正解がどれかすぐにわかったよ」
胡桃「こういう簡単な問題は誰でも正答できるから、ミスしたら痛いわよ」
続きを読む

2017年07月20日

二つのタイプの遺言書 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり



遺言書には、大きく分けて二つのタイプがあります。

一つは、自分で作成するタイプの遺言書。もう一つは他人に作成してもらうタイプの遺言書です。

自分で作成する遺言書は「自筆証書遺言」と言います。

自筆証書遺言は、遺言者が日付と氏名を自書し、押印するという方式の遺言書です。

自筆証書遺言は、特別な手続きを踏まなくても作成することができます。目の前に紙とペンがあれば今すぐに書き始めることができます。

用紙については特別なものを用いる必要はありません。和紙である必要はありませんし、普通の便箋でもいいですし、広告の裏に書いたってもいいのです。

また、ペンについても、どんな筆記用具を用いてもかまいません。毛筆である必要はありませんし、鉛筆で書いても形式が整っていれば有効になります。

ただ、鉛筆だと、消しゴムで消すことができるので望ましくありません。遺言書の有効性が争われることになるでしょう。

一般的にはボールペンや万年筆で書くのが望ましいです。

自筆証書遺言の作成の際に注意したいことは、自書しなければならないということです。

今は、文書の作成にワープロやパソコンを使う方が多いと思いますが、ワープロやパソコンで書いた遺言書は無効です。

必ず自分の手で書かなければならないのです。

ですから、手に障害がありペンを持てない、目が見えないという方は、自筆証書遺言を作成することは難しいということになります。

法律家に代書してもらうことはできないのか?と思う方もいるかもしれませんが、たとえ、弁護士などの法律家でも、自筆証書遺言を代書することはできません。



もう一つ注意すべきことは、自筆証書遺言には日付を記載しなければならないということです。

遺言書は一度作成したら二度と作成できないというものではありません。

一度書いた遺言書を撤回して書き直すことは何度でもできます。

複数の遺言書が作成されていた場合は、その日付の前後により、最終的な遺言はどれなのかを判断しなければならないのです。

そのため、遺言書を作成した日付が大切なのです。



遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。とされていますが、自筆証書遺言はそのままでは、ただの紙切れですから、何の意味もありません。

遺言書を見つけた人が無視して捨ててしまえばそれまでです。

自筆証書遺言が有効な遺言書として機能するためには、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所で「遺言書の検認」と言う手続きを経なければなりません。

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認を経て初めて、遺言書を基にして相続手続きを始めることができるのです。

したがって、自筆証書遺言の場合は、作成する時は、何ら手間をかけることなく、簡単にできてしまいますが、死亡した後で、相続人たちにひと手間かけてしまうことになるというわけです。



他人に作成してもらうタイプの遺言書の代表例が「公正証書遺言」です。

これは、法務大臣により任命される公証人によって作成される遺言書のことです。

公証人が遺言書の作成を希望する人から内容を聴取して、公正証書と言う形式で遺言書を作成します。

作成された遺言書は公文書として扱われるため、内容が無効とされる可能性は極めて低くなります。

また、原本が公証人役場に保管されるため、遺言書の偽造、隠匿の危険がありません。

一般的には、公証人役場に連絡して、指定された日に、赴いて、遺言書に書きたいことを述べなければなりません。

もしも、身体が不自由で動けない場合は、公証人に来てもらうこともできます。

ただし、公正証書遺言であっても、遺言者自身が意思表示できる状態でなければなりません。

民法にも、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。 」とされています。寝たきりでも、話すことができなくてもかまいませんが、自分の意志を正確に伝達できる必要があるのです。

また、公正証書遺言の場合は、結構な費用がかかります。

自筆証書遺言と違い、作成する時は、手間も費用もかかりますが、死亡した後は、検認の手続きを経なくても、公正証書遺言を基にして相続手続きができるので、相続人には手間をかけません。

最も安全で確実な遺言書です。



※参考条文 民法

(遺言の方式)
第九百六十条  遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

(遺言能力)
第九百六十一条  十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
第九百六十二条  第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。
第九百六十三条  遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条  遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(公正証書遺言)
第九百六十九条  公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
二  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

(公正証書遺言の方式の特則)
第九百六十九条の二  口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2  前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3  公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。

(秘密証書遺言)
第九百七十条  秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2  第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
第九百七十一条  秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。

(証人及び立会人の欠格事由)
第九百七十四条  次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一  未成年者
二  推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺言書の検認)
第千四条  遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2  前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3  封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

(過料)
第千五条  前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。



●実録行政書士開業十年シリーズ
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり



バイト補助者からの成り上がり 実録行政書士開業十年
平成十五年の行政書士試験合格後、大学卒業と共に行政書士補助者となるも二か月で失業。
人生で最もどん底の時期を生き抜き、人脈、資金、営業経験ゼロの状態から弁護士と行政書士の合同事務所を設立し、現在、十周年を過ぎた行政書士の開業初期の実体験を記した手記。



食える行政書士になりたければネットも営業もやめよう 実録行政書士開業十年2
知名度、人脈、資金ゼロ、ホームページもSNSも持たず、営業も一切やらずに、毎年一千万以上の売り上げを達成し続け、開業十周年を迎えた行政書士の戦略とは?



食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方1 実録行政書士開業十年3
行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり!
金、経験、人脈なしの最悪の状況から一千万以上稼ぐに至った行政書士だけが知っている孫子の極意とは?



食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方2 実録行政書士開業十年4
低価格を提示するのは、自分がバカだと世間に公示しているようなもの!孫子の兵法の経営戦略を忠実に実行すれば、行政書士で年間一千万以上稼ぐのは当たり前!金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士がどん底で掴んだ極意とは?



食える行政書士だけが知っている孫子の兵法の読み方3 実録行政書士開業十年5
行政書士は食えない、役立たない資格。だからこそ、食えるのだ――。金、経験、人脈なしの最悪の状況で開業した行政書士が、孫子の兵法によって悟りを開き、たどり着いた境地とは?



posted by 大滝七夕 at 19:39| 実務のヒント
スポンサードリンク